「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

塩野義と阪大「ゾコーバ」のコロナ後遺症抑制効果を研究

塩野義製薬」(本社:大阪市中央区)は3月1日、大阪大学(本部所在地:大阪府吹田市)と共同で新型コロナウイルス感染症の治療薬「ゾコーバ」が後遺症を抑制する効果について、臨床研究を始めたと発表した。3月1日から阪大に設置する共同研究講座で2,000人を対象に進める。
同社は、ゾコーバが過去の臨床研究(治験)で副次的に新型コロナの後遺症を抑制することを確認済み。今回後遺症を主な対象とした研究を改めて実施することで、発症の抑制効果と安全性など詳しく調べる。

参天製薬 近視抑制点眼薬を承認申請 国内初 子ども想定

参天製薬(本社:大阪市北区)は2月28日、近視の進行を抑える点眼薬について、国内での製造販売承認を申請したと発表した。子どもへの処方を想定したもので、承認されれば国内初の近視抑制薬になるという。治験では良好な結果を得ているとしている。同社では中国などでも承認申請を予定している。

ホンダ 充電できる燃料電池車 今夏から日本で発売

ホンダ(本社:東京都港区)は2月28日、新型の燃料電池車(FCV)、多目的スポーツ車(SUV)「CR-V e-FCEV」(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」を米国で生産して輸入、2024年夏より日本で発売すると発表した。燃料電池はゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した。価格は現時点では未定。
この新型車両は、日本勢で初めて充電できるプラグイン機能を備えたFCVだ。水素は約3分で満充填にできるほか、電池だけで60km以上走れるという。

ニデック AIR VEV社が2人乗りeVTOL機用モータ共同開発

ニデックは2月22日、グループ会社のニデックモータと個人向けeVTOL(電動垂直離着陸機)を製造するAIR VEV社(以下、AIR社)が開発中の2人乗りのeVTOL機(空飛ぶクルマ)「AIR ONE(エアワン)」の生産モデル開発向けモーターの共同開発で合意したと発表した。
AIR社は2018年にイスラエルで設立されたeVTOL開発・製造企業。開発中のAIR ONEはすでに1,000台以上の予約を獲得しており、機体認証取得後、初期受注分を納入する予定。今後AIR社およびニデックの子会社、ニデック・エアロスペースの両社は中型eVTOL専用のモータを設計・開発し、現在急成長中の次世代モビリティ業界で、まだどの企業も参入していない分野の開拓を目指す。

筑波大 難治性の脳のがんに世界初の独自治療法 治験開始

筑波大学(所在地:茨城県つくば市)は2月22日、難治性がんの一種、こう芽腫という脳の病気に対して次世代の治療法で治験を開始すると発表した。同大学はつくば市の高エネルギー加速器研究機構などと連携し、独自に開発した照射装置と治療薬を組み合わせた「BNCT」という治療法で、初めてこう芽腫と診断された患者への治療を始めるという。BNCTはがん細胞に取り込んだ「ホウ素」に中性子を照射し、がん細胞を破壊する治療法。

ルネサス AIアクセラレータと組み込みプロセッサ技術開発

ルネサスエレクトロニクスは2月22日、AIモデルの軽量化に対応した新たなAIアクセラレータと、リアルタイム処理を実現する組み込みプロセッサ技術を開発したと発表した。この結果、新技術の導入前と比べて最大16倍の処理性能(130TOPS)を実現し、さらに世界トップレベルの電力効率(0.8V動作時、最大23.9TOPS/W)を達成した。

日本電気硝子 全固体ナトリウムイオン二次電池を出荷

日本電気硝子(本社:滋賀県大津市)は2月20日、全固体ナトリウムイオン二次電池(以下、NIB)のサンプル出荷を開始したと発表した。同社のNIBは正極、負極、固体電解質すべてが安定した酸化物で構成され、−40℃〜200℃の過酷な環境下で作動し、発火や有毒ガス発生のリスクがなく、ナトリウムを用いレアメタルを使用していない革新的な全固体電池。
今回サンプル出荷する製品は3V200mAhが標準となる。これを経て、2024年度内での販売開始を予定。

レンゴー 子会社が第二世代バイオエタノールの生産実証

レンゴーは2月20日、連結子会社の大興製紙がBiomaterial in Tokyoと提携し、持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Avuation Fuel)の原料になる第二世代バイオエタノールの生産実証事業を開始すると発表した。同実証事業はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成および委託を受け実施する。
大興製紙は建築廃材などの未利用バイオマス資源から生成するクラフトパルプを原料として産業用微生物による自製酵素を用いたバイオエタノール生産技術の開発・実証を行い、2027年までに年間2万klのバイオエタノール生産を目指す。このバイオエタノールは販売先の燃料事業者でSAFに転換され、航空燃料として使用される予定。

日本触媒 米Trevi Systemと次世代システムで海水淡水化

日本触媒(本社:大阪市中央区)は2月15日、Trevi System Inc.(本社:米国カリフォルニア州、以下、Trevi System社)と次世代の海水淡水化/水処理システムの正浸透(FO)システムの基幹部材である浸透圧発生剤(Draw Solution、以下、DS)を共同開発したと発表した。
Trevi System社は、米国エネルギー省から400万ドルの資金援助を受けてハワイ島で、共同開発したDSを用いて海水から淡水をつくるプロジェクトを2022年6月から開始し、すべてのデータ取得を2023年9月に完了している。

パナソニック, 麻布大 ナノイー技術で花粉アレルギー抑制

パナソニックと麻布大学は2月14日、共同研究でナノイー(対戦微粒子水)で抑制した花粉では、アレルギー反応が抑えられることを細胞レベルで明らかにしたと発表した。細胞レベルでの効果実証は、今回が初めての試みとなる。
実験では、花粉症症状に関わる免疫細胞にナノイー照射により抗原性が抑制された花粉に接触させ、反応を観察した。その結果、①花粉に対する樹状細胞の過剰な反応が抑制され、炎症性物質産生が約70%抑えられた②花粉症発症の原因となる抗体生成を指示するT細胞の増殖活性が約40%抑制された。これにより、ナノイーによるアレルギー反応の抑制が確認され、アレルギー症状の抑制が示唆された。