国際宇宙ステーション(ISS)の日本の実験棟「きぼう」から12月9日夜、世界初の木造小型人工衛星が宇宙へ放出された。京都大学と住友林業が開発この人工衛星には国産木材が使われ、宇宙空間で将来、木材が利用できるかを調べる予定だったが、京大関係者によると、地上との通信ができておらず、地球を周回する衛星からの電波の受信を引き続き試みているという。
衛星は10センチ角(重さ約1kg)で、ネジや接着剤を使わずに木材を組み上げる日本の伝統技法が使われている。ラテン語の「リグノ」(木材)と、人工衛星を意味する「サテライト」を組み合わせて「リグノサット」と命名されている。
「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ
東北大に新型核燃料棒研究拠点 原発の安全性向上へ
出光興産など 建設現場で次世代バイオ燃料の実証実験開始
太陽誘電と東北大 早期の社会実装へ燃料電池を共同研究
広島大病院など 歯周炎で骨喪失 再生へ移植用材料開発
KDDI 30年に全自動配送実現 ドローン・ロボ・車を一体制御
旭化成 EC, DMC技術ライセンスした中国プラントが運転開始
旭化成(本社:東京都千代田区)は12月5日、高純度エチレンカーボネート(EC)および高純度ジメチルカーボネート(DMC)を技術ライセンスした中国Jiangsu Sailboat Petrochemical Co.,Ltd.(本社:江蘇省連雲港市、以下、Sailboat)の新プラントが11月に商業運転を開始したと発表した。
これらの高純度カーボネートは、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LiB)の電解液溶剤に用いられており、二酸化炭素(CO2)を主原料とする大型高純度カーボネート類生産技術の確立とその工場の稼働は、CO2を化学製品の原料として消費する機会を大きく広げることにつがる。このライセンス技術は原料の約50%がCO2であり、年間数万トンのCO2を消費・吸収する技術として世界中から注目されている。
神戸アイセンター 初のiPS網膜移植「先進医療」申請へ
住友ファーマ iPS網膜シート 25年度米で移植 臨床試験
製薬大手の住友ファーマ(本社;大阪市)は11月29日、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から光を感じる網膜のシートをつくり、目の難病「網膜色素変性症」に患者に移植する臨床試験を米国で開始すると発表した。
米マサチューセッツ州の病院と協力し、網膜シート(直径約1ミリ)を患者12人に移植。国内の研究よりも細胞数を増やし、安全性や視機能の改善などの有効性を確認する。視細胞を含むシートを国内で作製して米国に空輸し、2025年度に1例目の移植を目指す。
網膜色素変性症は、暗いところでものが見えにくくなったり、視野が狭くなったりする難病。光に反応して神経に情報を伝える「視細胞」が減少して発症する。国内に約3万人、米国では約8万人の患者がいると推定されている。
阪大チーム 声失った患者そっくりの人工音声 AIアプリ開発
大阪大などの研究チームはこのほど、病気で声を失った患者の口元の動きから話そうとしている内容を人工知能(AI)で推定し、本人そっくりの人工音声を流す「読唇アプリ」を開発した。これを使えば患者の意思疎通が楽になるとし、チームは実用化を目指す。大阪大病院で患者に試験的に使ってもらうことを計画している。
チームは日本語の5種類の母音に加え、前後の音の並びによって変化する口元の動きを16種類に分類した「口形コード」という手法に着目。まず話している口元の膨大な映像と、その動きに対応するコードをAIに学習させ、口元の動きをコードに変換する手法を開発した。さらに別のAIを使い、コードを自然な日本語に置き換える2段階のシステムで、話そうとしている言葉を推定できるようにした。これらと、事前に録音した患者本人の声をもとに、人工音声でそっくりに再現するシステムも組み合わせ、アプリを完成させた。