「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

岩谷産業, トーヨーカネツ 液化水素の大型タンク共同開発へ

岩谷産業とトーヨーカネツは7月19日、液化水素を貯蔵する円筒形の大型タンクの共同開発案件が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されたと発表した。国内で実用化されている球体タンクの約20倍にあたる、容量5万㎥のタンクの開発を目指す。予定事業期間は2023〜2027年度。水素貯蔵に強い岩谷産業と液化天然ガス(LNG)向け大型タンクなどで実績のあるトーヨーカネツがノウハウを持ち寄る。最終的に内部の直径が40m、高さ60m程度の円筒型のタンクの開発を目指す。

積水ハウス 水素を製造・貯蔵・使用できる電力自給住宅を実証

積水ハウス(本社:大阪市北区)は7月14日、太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用い、自宅で水素をつくり、住宅内の電力を自給自足する住宅メーカー初の水素住宅の2025年夏の実用化を目指し、2023年6月から同社総合住宅研究所で実証実験を開始したと発表した。これによりCO2が一切発生しない、日常生活におけるゼロカーボン化と電気の自給自足の実現を目指す。

東大 南海トラフ 3つのタービダイトの分布を発見 四国, 紀伊で

東京大学の研究グループは、南海トラフに沿って沈み込む深海堆積物を調査した結果、砂層に富むタービダイトがスロー地震活動の静穏域(プレート間固着の強い領域と概ね一致)に集中して分布することを発見した。これは海洋研究開発機構が過去に南海トラフで取得した反射法探査データを深海掘削データをと組み合わせ、海溝で沈み込む深海堆積物を分析した結果、分かったもの。
西側タービダイトは主に四国の足摺岬沖に、中央側タービダイトは紀伊半島の潮岬沖に、東側タービダイトは紀伊半島の熊野沖にそれぞれ分布。一方、四国の室戸岬沖ではタービダイトが分布せず、泥質堆積物のみが沈み込んでいた。南海トラフ沿いの深海堆積物をを分析し、沈み込むタービダイトの全貌を明らかにしたのは、今回が初めて。

日揮HDなど3社 NEDOの水素サプライチェーン構築事業に採択

日揮ホールディングス(本社:横浜市西区)、クボタ(本社:大阪市浪速区)、大陽日酸(本社:東京都品川区)の3社は7月6日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に共同で応募し、採択されたと発表した。3社は年産11万トンの大規模な水素製造事業への参入を視野に、輸入したアンモニアを熱分解して水素を得る「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発を提案していた。研究開発の実施期間は2023年度〜2024年度。

JAXA, 慶大など 月面整備・作業小型ロボの実証実験を公開

宇宙航空研究開発機構(JAXA)や慶應義塾大学などは7月6日、JAXAの相模原キャンパスで、月面で作業する小型ロボットの実証実験を公開した。月面を模した実験場で砂の硬さを計測したほか、凸凹の地面をローラーで押し固める作業などを披露した。
政府の大型プロジェクト「ムーンショット小型研究開発事業」の一環。慶応大学のほか、九州工業大学、奈良先端科学技術大学院大学が開発状況を報告した。

東京工業大 全固体電池の急速充電性能と容量 世界レベル達成

東京工業大学の研究グループは、全固体電池の急速充電性能と容量を向上させることに成功した。米科学誌「サイエンス」に研究成果を発表した。急速充電の性能で現行の最大3.8倍、正極容量でも電極面積当たりで1.8倍向上した。いずれも世界最高レベルと説明している。

東大と三井不 KOIL MOBILITY FIELDで走行中給電の検証実験開始

東大と三井不動産は7月3日、首都圏最大級の屋外ロボット開発拠点、KOIL MOBILITY FIELDで走行中給電用コイルを埋設した走行レーンを民間で初めて新設し、フィールド検証実験を開始したと発表した。これにより、両者は日本初の電気自動車(EV)への走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験に近づくことになる。
今回埋設した送電コイルは60秒間充電すると、約6km走行できる試算となっている。将来的に6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備や街づくりを進めることができると、駐車して特定の充電設備を使うことなく、断続的に充電しながらバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型なバッテリーだけで連続走行が可能となる。

三菱造船と日本郵船 アンモニアと液化CO2兼用輸送船 承認取得

三菱重工業子会社の三菱造船と日本郵船は6月29日、日本海事協会からアンモニアと液化二酸化炭素(CO2)を運べる輸送船の基本設計承認を取得したと発表した。脱炭素社会のニーズに向け、燃焼時CO2を排出しない次世代燃料として期待されるアンモニアと、貯留地への運搬が課題の液化CO2の両方を扱える輸送船を開発する。アンモニア・液化CO2兼用輸送船の実用例はこれまでなく、建造されれば世界初となる。

ニデックとソフトバンク HAPS向け高性能モーターを共同開発

ニデックとソフトバンクは6月27日、成層圏通信プラットフォーム、HAPS向け軽量・高効率・高信頼性のモーターを共同開発したと発表した。このモーターはソーラー発電のみでHAPS向け無人飛行機の長時間飛行を可能にする性能を備えており、ソフトバンク子会社のHAPSモバイル(本社:東京都港区)が目指す2027年度のHAPS向け無人飛行機「Sunglider(サングライダー)」の実用化に役立てる。

AGC 世界初 実生産炉でのアンモニア燃料でガラス製造の実証に成功

AGC(本社:東京都千代田区)は6月27日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として、AGC横浜テクニカルセンターで取り組んでいる「燃料アンモニア利用・生産技術開発」で、世界初となる実生産炉でのアンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功したと発表した。
この事業は大陽日酸、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、東北大学と共同で技術開発に取り組んでいる。2024年以降、スケールアップしたバーナー試験やAGC他拠点のガラス溶解炉での実証試験を計画。アンモニア燃焼技術の活用範囲を見極めたうえで、2026年以降の本格導入を目指す。