ケタ違いの計算能力の高さがある次世代コンピューターとして研究開発が進められている「量子コンピューター」について、米国のIBMが開発した最新型が今秋めどに国内に導入されることになった。4月21日、IBMのジェイ・ガンベッタフェローと東京大学の相原博昭理事が東京都内で会見を開き発表した。この最新型は集積回路を構成する量子ビットの数が127とこれまでのおよそ5倍あり、商業用としては国内では最高性能となる。
この量子コンピューターは神奈川県川崎市内の施設に置かれ、使用権を持つ東京大学が国内の自動車メーカーや金融機関などとつくる協議会と共同で利用し、経済産業省が導入にかかる費用などとして42億円を補助するという。
「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ
IHI, 大阪ガス マレーシアでバイオマス活用のe-メタン製造の覚書
重症拡張型心筋症で新治療法に道筋 病態解明し標的を同定 東大など
SkyDrive 「空飛ぶクルマ」の個人向け予約販売を開始
空飛ぶクルマおよび物流ドローンを開発するSkyDrive(本社:愛知県豊田市、スカイドライブ)は4月13日、空飛ぶクルマの商用機「SD-05」の個人向け予約販売を開始すると発表した。第一号機はすでに、ホンダジェットの日本1号オーナーでもある千葉功太郎氏が申し込んでいるという。
同社はこれまで企業向け(BtoB)に予約販売を推進しており、2022年11月にベトナムのディベロッパー、パシフィックグループより、「SD-05」を最大100機のプレオーダー(10機の確定、90機のオプション)で合意しているとしている。
SD-05は2人乗り(乗客1名、パイロット1名)で、最大航続距離は約10km、最高巡航速度は100km/hで移動できるよう設計している。
帝人フロンティア PU弾性繊維を除去する技術を開発
大阪ガス・IHI マレーシアでのメタン製造事業で覚書
大阪ガス(本社:大阪市中央区)とIHI(本社:東京都江東区)は4月10日、マレーシアの大手国営ガス・石油供給事業者ペトロナス・グループ(本社所在地:クアラルンプール)と、同国の未利用森林資源や農業残渣を活用したe-methane(e-メタン)製造事業の、基本設計の実施判断に向けた詳細検討を開始するための覚書を締結したと発表した。
同事業では、バイオマス化技術とメタネーション技術を組み合わせた新たな方式により、再生可能エネルギー電力の価格に影響されないe-メタンの製造を目指す。また、2030年に製造したe-メタンを、ペトロナスがマレーシアの保有するLNG基地で液化し、日本などに輸出することを目指す。
角膜濁り視力低下の患者にiPS細胞を移植 世界初
藤田医科大学、慶応大学の研究グループは4月7日、目の角膜が濁り視力が低下する「水ほう性角膜症」の患者に、iPS細胞からつくった目の細胞を移植し、視力の回復を目指す世界初の手術を実施したことを明らかにした。
グループは2022年10月、慶応大学病院(東京)で世界で初めてとなる1例目の手術を行い、70代の患者の角膜の内側におよそ80万個の細胞が含まれた溶液を注射する方法で移植した。手術から3カ月の時点で拒絶反応や出血などの合併症は起きておらず、視力なども改善傾向を示しているという。
現在、水ほう性角膜症の根本的な治療は角膜移植しかない。同研究グループによると、およそ1万人の患者が移植を待っているのに対し、移植を受けられるのは年間およそ2,000人にとどまっている。角膜移植以外の治療法の確立が喫緊の課題となっている。
立命館大 CNTを認識するヒト免疫受容体を発見
立命館大学の研究グループは4月7日、カーボンナノチューブ(CNT)を認識するヒト免疫受容体を発見したと発表した。この研究成果は4月7日付の英国の科学雑誌『Nature Nanotechnology』に掲載される。
CNTは次世代ナノ材料として様々な用途・分野への展開が大きく期待されているものの、一部のCNTはアスベスト様の毒性が懸念されており、その毒性発言分子機構は不明だった。
今回同グループは独自のインシリコ探索により、世界で初めてCNTを認識するヒト免疫受容体を発見した。そしてマクロファージがその免疫受容体を用いてCNTを貪食して、炎症を引き起こすことを明らかにした。この研究で見出した免疫受容体および炎症シグナルを標的とした健康被害の予防・治療法の開発が期待される。
ラピダス imecと次世代半導体開発で連携 経産相
阪大G 自己免疫疾患 症状悪化の原因たんぱく質特定
大阪大学などの研究グループは、関節リウマチをはじめとした自己免疫疾患について、症状を悪化させる原因となるたんぱく質を特定し、その働きを抑える薬の成分をマウスの実験で発見したと発表した。自己免疫疾患は、免疫の異常によって関節や皮膚などの組織が攻撃され、炎症などが起きる病気。このうち関節リウマチは国内におよそ80万人の患者がいると推計されている。
グループは免疫を活性化させる「COMMD3/8複合体」と呼ばれるたんぱく質を、体内でつくり出せないようにしたマウスでは関節炎の進行が抑えられ、このたんぱく質が自己免疫疾患の悪化に関わっていることが分かったという。さらに炎症を抑える目的に使われている漢方薬の原料「ライトコウ」の主要成分「セラストロール」をマウスに投与したところ、このたんぱく質の働きが抑えられ、実際に症状の悪化を防ぐ効果も確認されたとしている。