「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

富士通,東京医科歯科大 富岳とAIでがんの薬剤耐性を発見

スーパーコンピュータ「富岳」と「発見するAI」で、がんの薬剤耐性に関わる未知の因果メカニズムを高速に発見する新技術が開発された。富士通と東京医科歯科大学は3月7日、従来は実行困難だった2万変数のデータを1日以内で超高速計算することが可能で、1,000兆通りの可能性から未知の因果を発見できる技術を開発した。
両者は、がん医療と創薬の現場課題の抗がん剤の薬剤耐性を分析するために、がんの細胞株から得られた遺伝子発現量データにこの技術を適用した結果、これまでの研究成果では得られていない、肺がん治療薬の耐性の原因を示唆する遺伝子の新たな因果メカニズムを抽出することに成功した。これにより、患者一人ひとりに対応した効果的な抗がん剤創薬の実現に向けて、この技術の活用が期待される。

ISTとJAXA 小型ロケット用エンジンシステム技術で共創

インターステラテクノロジーズ(以下、IST)と宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は3月2日、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(以下、J-SPARC)」の枠組みのもと、小型ロケット用エンジンシステム技術の研究開発に関する共創活動を開始したと発表した。
両者のこれまで共創活動を通じ、主要コンポーネント技術の実用化へのめどが得られたことから、次の共創活動(フェーズ2)として、個々の技術をシステムとしてインテグレートした小型ロケット用エンジンシステムの研究開発に取り組むことになった。両者がそれぞれエンジンシステムを構成するコンポーネントの設計・製作をを行い、JAXAが角田宇宙センターでエンジンシステムとしての組立および試験を実施、得られた試験結果を両者で共有する。
ISTは低コストな小型ロケット用エンジンシステム技術をZEROの開発に活用し、早期の実機打ち上げを目指す。

「培養魚肉」国内外で開発競争過熱 早期実用化に期待

環境破壊や乱獲による水産資源の減少を背景に、将来の食糧不足に備えようと細胞を培養してつくる魚肉の研究が進んでいる。先行する海外では年内の販売を目指す動きが出ており、日本でも回転ずし「スシロー」の運営会社などが開発にに乗り出す。日本は開発資材の細胞を揃えるうえで多様な魚種が流通する利点があり、早期の実用化への期待が高まっている。
培養魚肉は、生きた魚の細胞に養分を含んだ培養液を与えて大きくする。成形には培養牛肉と同様に3Dプリンターを使うケースが多い。すり身状のものが主流だったが、米企業のワイルドタイプは味や見た目も天然のサケに近い切り身をつくることに成功し、試食会で握りずしを披露した。
国連食糧農業機関(FAO)によると、持続可能な水準にある水産資源の割合は1974年の90%から2017年には65.8%に減少する一方、過剰利用か枯渇状態の資源の割合は10%から34.2%に増えた。発展途上国の消費が増えており、食用の水産物消費は世界の人口増加率の2倍ほどのペースで急増している。これらのことを背景に注目を集めるのが培養魚肉だ。産経新聞が報じた。

NEDO「人工光合成」研究に300億円支援 脱炭素へ開発加速

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月18日、太陽光を使い水と二酸化炭素(CO2)からプラスチック原料などをつくる「人工光合成」の研究開発に300億円を支援すると発表した。三菱ケミカルやトヨタ自動車、東京大学などが研究に参画する。石油を使わない製造技術の開発支援を通じ、脱炭素への取り組みを加速する。NEDOの支援は総額2兆円を投じるグリーンイノベーション基金事業の一環。
同プロジェクトでは、人工光合成の大規模実証実験を2030年に実施する予定。まず水素製造コストで石油由来の方法と同程度に下げる。同技術は石油に頼らず化学原料をつくることができ、脱炭素の切り札といわれる。産官学で研究開発を加速する。

岡山大 光で狙った細胞を死滅させる技術開発 新たながん治療法

岡山大学の研究グループは2月17日、細胞をアルカリ化する光感受性タンパク質を用いることで、光で狙った細胞を選択的に死滅させる新技術の開発に成功したと発表した。これにより、周りの正常な細胞には毒性を与えず、がん細胞を選択的に死滅させる「副作用のない光がん治療法」の開発につながると期待される。

大日本印刷と東京食品機械 プラ使用量を90%削減の紙トレー

大日本印刷(本社:東京都新宿区)と東京食品機械は2月7日、プラスチック使用量を抑えた環境配慮型の密封性を有する紙トレーの共同開発を開始したと発表した。パッケージと包装システムにおける両社の開発力を掛け合わせ、酸素バリア性と密封性を併せ持つ「密封紙トレー」を開発し、惣菜や冷凍食品などの業界に向けて提供していく予定。

日本板硝子 高弾性・高強度ガラスファイバー「MAGNAVI」開発

日本板硝子(本社:東京都港区)は2月2日、耐熱性、電波透過性等のガラスファイバーの特性はそのままに、剛性と強度をさらに高めた新たなFRP・FRTP(繊維強化プラスチック)用補強材として、高弾性・高強度ガラスファイバー「MAGNAVI(R)」を開発したと発表した。
産業製品部材の軽量化、薄型化ニーズの高まりに応え、MAGNAVIは従来のガラスファイバーやカーボンファイバーでは対応の難しいい分野にワンランク上のソリューション提供を目指す。すでにワンプルワークを開始し、2022年下期より津事業所(三重県)での生産体制を整備し、順次販売を拡大していく予定。

EV普及のカギは切り札「全固体電池」の開発・実用化

2022年は電気自動車(EV)の次世代電池と目される「全固体電池」の開発競争が激化し、国内外の大手自動車メーカー各社はEV普及の切り札として実用化を急いでいる。すでに欧米の主要メーカーはじめトヨタ自動車や日産自動車は、全固体電池の具体的な投入時期を表明、開発に取り組んでいる。果たして、どこが実用化1番乗りするのか?
全固体電池は現行のリチウムイオン電池の約2倍の容量を蓄えることができ、ガソリン車と比べたEVの弱点である航続距離の短さ、充電時間の長さ、電池の経年劣化を解消する次世代電池と期待されている。
トヨタは2020年8月から全固体電池を搭載した試作車で公道を走ってデータを取得しており、2020年代前半にまずハイブリッド車(HV)に採用する予定だ。HVで課題を克服した後、EVにも採用する方針。日産は2028年の市場投入を目指し、2024年には横浜工場内にパイロット生産ラインの導入を計画している。充電時間は現在のリチウムイオン電池に比べ3分の1に短縮することが目標としている。
海外勢では最も開発が進んでいるとみられる独フォルクスワーゲン(VW)は、2025年以降に搭載車を販売すると表明している。メルセデス・ベンツは、全固体電池を開発する台湾の輝能科技有限公司に出資、共同開発すると発表した。早期の実用化につなげたい考えだ。

ゴールドウイン 環境配慮素材の製品開発でBioworksと提携

ゴールドウイン(本社:東京都渋谷区)は1月25日、石油由来の化学繊維に代わる環境配慮素材の製品開発で、植物由来で生分解性のバイオマスプラスチック、ポリ乳酸繊維「Plax Fiber」の改質剤を開発している素材のスタートアップ、Bioworks(本社:京都府相楽郡)と資本業務提携し、製品開発を推進すると発表した。
これまでBioworksで進めてきたPlax Fiberを使用した短繊維の製品開発に加え、今後は協業によりアウトドア・スポーツ用途などで活用が見込める長繊維の開発を進め、2023年から「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」「Goldwin(ゴールドウイン)」等、同社グループが展開するブランドからの製品開発を目指す。

東洋エンジ タイで混合廃プラ油化技術の共同検討を開始

東洋エンジニアリングは1月19日、タイのSCGケミカルズとの間で、SCGケミカルズが60%出資しているCircular Plas Company Limited(CirPlas)が保有する混合廃プラスチックの油化技術の商業化に向けた共同検討に関する基本合意書を締結したと発表した。
CirPlasが保有するプラスチックのリサイクル技術は、触媒を使用することでプロセス温度を下げる省エネルギー・環境配慮型の油化プロセス。また、プラスチック廃棄物を再度プラスチック原料にリサイクルすることから、タイ国内のみならず他の国々のプラスチック廃棄物問題の低減にも寄与することができる。