「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

奈良・東大寺で聖武天皇しのび法要, 時代衣装で練り歩く

奈良市の東大寺で5月2日、同寺を建立した聖武天皇をしのぶ行事が行われた。この行事は同天皇の命日にあたる5月2日に毎年行われているもの。
奈良時代から室町時代までの稚児や僧兵などの衣装をまとった、地元の幼稚園児や観光協会の関係者およそ250人が東大寺の大仏殿に続く約800mの境内を練り歩いた。この後、大仏殿で法要が営まれ、僧侶がお経を唱える中、参加した人たちは焼香をして聖武天皇の遺徳をしのんでいた。

京都・北野天満宮で神職が残した「源氏物語」ノート発見

学問の神様、菅原道真を祀る北野天満宮(所在地:京都市上京区)で、安土桃山時代に神職が必要とされた、古典文学の教養を身につけるため学んだ「源氏物語」のノートや、江戸時代前期のものとみられる写本が見つかった。宝物殿で特別展「天神様と源氏物語ー知られざる関係ー」で公開している。6月30日まで。拝観料は大人1,000円、中高生500円。
今回発見されたノートにあたるものは「源氏物語聞書」。作成時期は1597年とみられる。連歌師から伝授された内容を書き残していた。この中には、源氏物語の主人公・光源氏は平安貴族の源高明がモデルとされるという内容の記述もある。

奈良・談山神社で春の「けまり祭」古代の装束で”技”披露

奈良県桜井市の談山神社で4月29日、古代の色とりどりの装束を身に着けた蹴まり保存会の人たちによる「けまり祭」があった。新緑に囲まれた境内の庭で、輪になった蹴まり保存会の人たちが、鹿の皮でできたまりを蹴り合う。右足の膝を伸ばしたまま蹴り上げるのが作法とされており、「アリ」「ヤ」「オウ」など独特の掛け声とともに”技”を競っていた。
けまり祭(蹴鞠祭り)は、談山神社に祀られている藤原鎌足が蹴まりを通じて中大兄皇子(後の天智天皇)と出会い、当時、ヤマト政権のもとで並ぶもののない、隆盛を誇った豪族、蘇我氏(宗家)打倒に向け、「大化の改新」(645年)の計画を練った、という故事にちなんで毎年、春と秋に行われている。

東大寺 創建当初の東塔は68mの七重塔 国内最大級の高さ

奈良文化財研究所は4月25日、東大寺にかつて存在した東塔について調査し、解析、研究の結果を公表した。奈良時代の創建当初の塔は「相輪」と呼ばれる最上部の金属製の装飾を含めて高さがおよそ68mで、現存する木造の塔で最も高い、京都にある東寺の五重塔を13m上回る国内最大級の高さだったことが分かった。
同研究所は平成30(2018)年から東大寺などに保管されている文献、塔の土台の基壇の規模をもとに構造を解析、研究を進めてきた。その結果、今回の結論に達した。
東大寺の東塔は、西側の塔、西塔とともに奈良時代の創建当初、大仏殿の脇に東西一対で建てられていた七重塔。平安時代の焼き討ち後、鎌倉時代に再建されたが、その後、落雷で焼失した。

娘婿・信長を気にかけた義父・斎藤道三の書状見つかる

戦国武将、斎藤道三が娘・濃姫の婿、織田信長のことを気にかけ「若造で至らない点もあるが、末永く付き合ってほしい」と、近隣の領主に宛てた書状が見つかった。1552年ごろ書かれたものとみられる。道三の書状はあまり残っておらず、信長に言及していることも珍しいという。
『信長公記』には、この書状が書かれた時期は、その身なりや言動から、周囲からは”うつけもの”と評されていた信長と道三は初めて面会し、その秘めた才能を見抜いたとされている。
この書状は今月、水戸市立博物館に個人から寄託されたもの。東京大学史料編纂所の村井祐樹准教授が調査、判定した。

藤原定家の直筆 古今和歌集の注釈書見つかる 冷泉家

公益財団法人、冷泉家時雨亭文庫(所在地:京都市)は4月18日、鎌倉時代初頭の歌人、藤原定家(1162〜1241年)の直筆の古今和歌集の注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」が見つかったと発表した。
顕注密勘は平安時代末期の僧、顕昭による古今和歌集の注釈書だが、今回見つかったのは定家が自説の注釈を加えた書。これまで写本は確認されていたが、直筆本の発見は初めて。この直筆本は古今和歌集の解釈を伝える「古今伝授」で、冷泉家が使う文書を入れた木箱の中にあった。
冷泉家は定家の孫を祖とし、国宝や重要文化財を含む数万点の文書を所蔵している。

浄土宗 開宗850年 東京国立博物館で4/16から特別展開始 

法然上人によって浄土宗が開かれてから、今年で850年になるのに合わせ東京・上野の東京国立博物館で4月16日からゆかりの国宝などを集めた特別展が開かれている。6月9日まで。
同展には国宝の「二十五菩薩来迎図」や同じく国宝の「綴織當麻曼荼羅」はじめ、仏像なども含め120点余りの文化財が展示されている。
浄土宗は内乱や災害に見舞われた平安時代末期、法然が”南無阿弥陀仏”と唱えるだけで誰もが等しく救われ、極楽浄土に往生できると説き、開いた。その分かりやすさから民衆の間に広まった。

国際地質学会「人新世」案を否決 15年間の議論に幕

国際学会「国際地質科学連合(IUGS)」の小委員会が、20世紀半ばからの地質時代を人類活動が地球環境に大きな影響を及ぼす「人新世(じんしんせい)」とする案を反対多数で否決したことが分かった。これにより、”人新世”是か非か、15年間におよぶ議論に幕が下りた。
人新世の案は、2023年IUGSの下部組織の作業部会が提案した。世界人口の爆発的な増加に伴い、人類活動の影響が大きくなった1950年ごろを人新世の開始時期にすべきだとした。ただ、人新世について「人類活動が地球環境に与える影響を示す貴重な言葉」としながらも、地質学上の時代分類である地質時代と認定することには複数の批判があった。
IUGSは声明で①農耕の開始や産業革命の時期など20世紀半ばよりも前から人類活動が地球環境に影響を与えていたこと②他の地質時代に比べて期間が短すぎるとの批判が内部の専門家からあったーなどを明らかにしている。

岩手・大船渡市で4億年前の植物の化石発見 静岡大など

静岡大学などのチームは、岩手県大船渡市の約3.9億〜4.1億年前の「前期デボン紀」の海の地層から植物の胞子の化石を見つけた。大きさは数十マイクロ(100万分の1)ナノメートルの胞子を15種見つけた。これまで最古だった約3.6億〜3.8億年前から1,000万年前以上遡る。過去に発見された胞子の化石を参考に分類し、どれも低い草の胞子だとしている。前期デボン紀は植物が大幅に多様化した時代で、地層のできた海に近い陸に草原が広がっていたと考えられるという。

福井恐竜博物館 23年度入館者数84万人でコロナ前比14%増

福井県立恐竜博物館(所在地:福井県勝山市)は、2023年度の年間入場者数が84万人に上り、コロナ禍前の2018年度比で14%増となったと発表した。改装オープン後の2023年7月14日から2024年3月31日までを2023年度とし、2018年度の同期間と比較した。
繁忙期以外でも来館者が多かったことに加え、3月16日に北陸新幹線が敦賀まで延伸開業したことで、同館へのアクセスが向上、沿線地域からの顧客が増えたという。改装に伴い、常設で展示する恐竜の全身骨格を50体に増やしたほか、新館の増設で延床面積を1.5倍に増やし施設を充実したことが奏功したとみられる。