「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

一期一会 今年最大級の天体ショー「紫金山・アトラス彗星」

全国各地で2024年最大級の天体ショー「紫金山(しきんざん)・アトラス彗星」が観測されている。条件が良ければ10月20日ごろまでは、肉眼で観測できる可能性があるという。
国立天文台によると、この彗星は2023年1月、中国の紫金山天文台が最初に発見し、その後、南アフリカにある小惑星の衝突警報システム「アトラス」の望遠鏡が確認。紫金山・アトラス彗星と命名された。水やチリが集まる太陽系の果てにある領域「オールトの雲」から飛来したとみられる。いずれ太陽系外に出て、二度と戻ってこないと推測され、秋の夜空を飾る”一期一会”の天体ショーとして話題となっている。

キトラ古墳 東アジア最古の「天文図」公開 奈良明日香村

奈良県明日香村のキトラ古墳の国宝の壁画のうち、東アジアで最古とされる「天文図」が一般に公開されている。公開は11月10日まで。事前の申し込みが必要だが、空きがあれば当日でも受け付ける。
およそ1,300年前の飛鳥時代に描かれたキトラ古墳の国宝の壁画は、明日香村の専用の施設で年4回、一般公開されている。今回は石室の天井に描かれた天文図が紹介されている。この天文図は、金箔で表現した300個以上の星を朱色の線でつないで、古代中国の70個余りの星座を描いたもので、東アジアで最も古い天文図とされている。

被団協にノーベル平和賞 核廃絶訴え68年 核なき世界を!

ノルウェーのノーベル賞委員会は10月11日、2024年のノーベル平和賞を被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」(事務局:東京)に授与すると発表した。被爆体験の伝承を通じて68年にわたり、核兵器廃絶を世界に訴え続けていることが評価された。
被団協は、広島や長崎の被爆者が中心となって1956年に結成された。以来、長年にわたり”唯一の被爆国”の日本から、核爆弾による凄惨な体験を世界に発信し”核兵器のない世界”の実現を訴えてきた。日本からのノーベル平和賞受賞は、非核三原則を提唱した1974年の佐藤栄作元首相以来で2例目となる。

山口・秋吉台をユネスコに「世界ジオパーク」へ推薦

有識者らでつくる日本ジオパーク委員会は10月9日、山口県美祢市の「Mine秋吉台」を、貴重な地形や地質を持つ自然公園「世界ジオパーク」に推薦することを決めた。早ければ2026年春に、国連教育科学文化期間(ユネスコ)が認可の可否を正式に決める見通し。
世界ジオパークへの推薦決定は、2020年の「白山手取川」(石川県)以来で、決定されれば国内11地域目となる。11月中の推薦書提出を目指す。

世界遺産 彦根城「基準満たす可能性」イコモス事前評価

文化庁は10月9日、ユネスコの世界文化遺産登録を目指す「彦根城」(滋賀県彦根市)について、諮問機関、イコモスの事前評価で、世界遺産としての評価基準を「満たす可能性はある」とされたと発表した。
イコモスは、彦根城の価値について地元の滋賀県などが、江戸時代に各地の大名幕府の安定を支えた”大名統治システム”を示す遺産だと訴えている方向性を評価した。その一方で、「単独の城郭で十分に大名統治システムを表現できるのか」といった弱点も指摘し、課題を示した。

戦時中の幻の「陶貨」50万枚発見 発行前に終戦, 流通せず

造幣局は10月9日、京都市東山区の製造工場跡地近くの倉庫から、戦時中の金属不足により製造された陶器の貨幣「陶貨」50万枚超が見つかったと発表した。陶貨は、発行前に終戦を迎えたため流通せず、「幻の貨幣」とされ、これだけ大量に見つかるのは初めてという。
陶貨は1945年、委託先の京都市、愛知県瀬戸市、佐賀県有田町の民間の3工場で約1,500万枚が製造された。しかし、終戦で金属不足が落ち着き、廃棄が決定。国の命令で多くが粉砕処分されたとみられるが、流出した一部が各地の資料館などで展示されている。今回見つかったのはいずれも直径15ミリの「1銭陶貨」。表面には富士山と、反対側には桜が描かれている。

沖縄「10・10空襲」から80年 民間人主に1,400人以上 死傷

太平洋戦争末期の1944年、米軍が沖縄などに大規模な空襲を行い、1,400人以上が死傷した「10・10空襲」から10月10日で80年となる。この空襲は米軍が沖縄県内各地や奄美諸島に激しい攻撃を行ったもので、日本で初めて民間人が大規模に標的となったとされ、体験者たちは翌年の”沖縄戦”の始まりとして語り継いでいる。
午前7時から始まった空襲は5回にわたり、およそ9時間続いた。その結果、1,400人以上が死傷、668人を数えた死者の多くが民間人だった。当時の那覇市はおよそ9割が焼失、コンクリートの建物を除くほとんどの家屋が焼け落ちた。

パキスタン北部の「世界遺産級」岩絵数万点が水没危機

パキスタン政府が進めるダム建設計画により、古代シルクロード沿いにあるパキスタン北部のインダス川河畔で、少なくとも数千年にわたって刻まれてきた「世界遺産級」岩絵数万点が、水没する危機にさらされている。
この岩絵は、数千年前の制作されたとみられる人間の手や足をかたどったものや、紀元前後〜8世紀の仏像やペルシャ風の人物像、古代中央アジアで使われたカローシュティ文字やインドのブラーフミー文字など様々。異なる文化的な背景を持つ人々が連綿と制作してきたことが分かり、人類史をひも解くうえで不可欠な文化遺産といえる。

江戸期 大坂ー京都・伏見結ぶ三十石船10/13一日限定で復活

江戸時代、淀川を通って大坂ー京都・伏見(約40km)を往来した三十石船が10月13日、一日限定で復活する。開幕まで半年となる2025年大阪・関西万博周知、PRおよび観光振興のクルーズイベント「淀川クルーズFESTIVAL」の一環。枚方から上流で水深が浅い場所が複数あったが、国土交通省近畿地方整備局が川底を掘り下げ、上流を安全に航行することが可能となった。
13日に使用する一本松海運(所在地:大阪市北区)の観光船「辨天(べんてん)」(定員60人)は全長約16mで、三十石船を模した構造・大阪・八軒家浜船着場から、途中の枚方、八幡で乗客を入れ替えながら伏見まで航行する。
江戸時代、かやぶき屋根を備えた三十石船は上り約12時間、下り約6時間かけて往来。往時には1日320便を運航し、9,000人を運んだとされる・

東大など 20億年前の地層から生きている微生物発見 南ア

東京大学などのチームは、南アフリカの約20億年前の地層で採取した岩石の内部から、生きている微生物、DNAを含んだ微生物の細胞を発見したと国際学術誌で発表した。これまで生きた微生物が見つかった最古の地層は約1億年前のもので、記録を大幅に遡る成果という。細菌や古細菌の可能性があり、今後、ゲノム解析で調べる。