「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

奈良・東大寺で良弁僧正の1250回忌 盛大に「御遠忌」法要

奈良市の東大寺で10月14日、同寺の創建に尽力した初代別当、良弁僧正(ろうべんそうじょう)の1250回忌で、50年に一度行われる「御遠忌(ごおんき)」と呼ばれる盛大な法要が営まれた。
法要は国宝大仏殿の前で行われ、橋村公英別当らおよそ30人の僧侶がお経を唱え、良弁僧正の遺徳をしのんだ。途中、大仏殿の屋根から蓮(はす)の花をかたどった「散華(さんげ)」という色とりどりの紙が蒔かれると、大仏殿一帯が華やかな雰囲気に包まれた。また、特別に設けられた舞台では舞楽も奉納され法要に参列したおよそ600人の関係者は厳かな舞に見入っていた。法要は15、16日も営まれる。

奈良・纒向遺跡で世界最古のチャバネゴキブリの化石発見

奈良女子大学や大阪市立自然史博物館は、邪馬台国の有力候補地としても知られる奈良県の纒向遺跡(所在地:奈良県桜井市)から世界最古となるチャバネゴキブリの化石を発見した。3世紀後半の古墳時代前期の大きな穴から見つかった。
チャバネゴキブリは、世界的に害虫として知られるゴキブリ。これまでアフリカ原産でギリシア人などの船に紛れ込んで、地中海から欧州に、さらに北米へと生息域が広がっていったと考えられていた。日本には江戸時代に入ってきたと推測されていた。だが、今回の化石の発見により、実際には古墳時代にすでに生息し、同時代の人々も悩まされてきた可能性がある。

NASA 小惑星ベンヌに炭素・水, 試料公開「生命の起源」解明に期待

米航空宇宙局(NASA)は10月11日、無人探査機オシリス・レックスが小惑星ベンヌから回収した試料の調査結果を発表した。初期分析によると、ベンヌの試料には、有機物の形成に必要不可欠な炭素のほか、水も確認された。これにより、NASAは試料に「生命の原材料」が含まれていたと報告した。
NASAは今後、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)やカナダ宇宙庁(CSA)の研究者などとも協力し、試料のさらなる分析を進めるとしている。

京都・東寺で国宝「曼荼羅図」8年ぶり公開 重要文化財集め特別展

京都の世界遺産、東寺(所在地:京都市南区)で8年ぶりに国宝「曼荼羅図(まんだらず)」が一般公開されている。平安時代に天皇から東寺を託された空海が真言宗を開いてから、今年で1,200年にあたることから、同寺に伝わる宝物を集め特別展を行っている。
「両界曼荼羅図」は密教の世界観に基づき「胎蔵界」と「金剛界」という2つの世界を表した絵画で、国宝に指定されている。大きさはそれぞれ縦がおよそ185cm、横がおよそ165cm。描かれてから1,000年以上経っても鮮やかな極彩色が残っているのが特徴。
このほか、南北朝時代に空海の生涯を絵巻にした国の重要文化財『弘法大師行状絵巻』も8年間かけて修復され展示している。今回の特別展示は途中、作品を入れ替えながら11月25日まで開かれている。

滋賀「大津祭」本祭 4年ぶりに13基の曳山が揃って巡行

からくり人形を乗せた曳山(ひきやま)が滋賀県大津市内を巡行する「大津祭」の本祭が10月8日、行われた。今年は4年ぶりに13基の曳山が出揃って巡行し、市外地からの観光客を含め大勢の人や家族連れで賑わった。
同日午前9時ごろ大津市の天孫神社にからくり人形を乗せ、色鮮やかな幕で飾った高さおよそ6mの曳山が勢揃い。市内中心部で笛、太鼓のお囃子に合わせて巡行を開始。多くの見物客はからくり人形の動きに拍手を送ったり、写真に収めたりしていた。大津祭は、大津市の天孫神社に江戸時代から伝わる祭りで、国の重要無形文化財に指定されている。

”日本最古の学校” 栃木・足利学校で伝統の古書の虫干し

日本最古の学校として知られる栃木県足利市の足利学校で10月7日、虫食いやカビなどから貴重な書物を守るための虫干しの作業が始まった。虫干しは11月上旬まで、晴れて湿度が低い日に行われる予定で、一般の方も見学できるという。
7日は足利市の重要文化財に指定されている中国・後漢の歴史を記した『後漢書』など56冊を所蔵庫から風通しの良い部屋に運び、畳の上に並べていた。職員はマスクや手袋をして書物を1ページずつ開いて風にさらすことで湿気を取る作業をしながら、綴じ糸がほつれていないかや、新たな傷みがないかなど確認していた。
足利学校には、平安時代以降の書物およそ1万8,000冊が所蔵され、一部は国宝や国の重要文化財にも指定されている。

長崎くんち 4年ぶりに「奉納踊」再開 台車回しに歓声

長崎市の諏訪神社の秋の大祭「長崎くんち」が10月7〜9日の3日間にわたって開かれた。初日は笛や太鼓のお囃子が響きわたる中、滑稽な踊りや鮮やかな台車回しにおよそ2,500〜3,000人の見物客の歓声が挙がっていた。新型コロナウイルス禍で取りやめられていた主要演目「奉納踊」が4年ぶりに復活、再開され、地域に活気が戻った。
長崎くんちは、江戸時代初期にキリシタン禁制政策の一環として開始され、市内の諏訪神社で380年以上続く秋の大祭。1979年には国の重要無形文化財に指定されている。

大阪・難波宮跡公園で賑わう「中秋名月祭」食と文化で日中交流

大阪市中央区の難波宮跡公園で10月7、8の両日、日本の十五夜にあたる中国の「中秋節」の時期に合わせて、中国の食や文化を楽しめるイベントが開かれ、家族連れで賑わった。
今回は15回目の開催で、会場には中国料理など屋台が数多く設けられ、普段は見慣れない中国の食材や料理が並んでいた。また、会場に設けられたステージでは中国の伝統的な民族舞踊などが次々に披露され、会場全体を盛り上げていた。

正倉院で10/4 「開封の儀」聖武天皇ゆかりの宝物を点検, 調査

奈良時代の聖武天皇の品やシルクロードを経て伝わったとされる約9,000点の宝物を集めた正倉院(所在地:奈良市)で10月4日、年に1度、宝庫の封を解く「開封の儀」が行われた。午前10時すぎ、勅使の松永侍従や正倉院事務所の職員ら19人が正装姿で到着。宝物が納められた部屋の扉に結ばれた麻縄をハサミで切って封を解いた。11月30日の「閉封の儀」まで宮内庁などが宝物の点検や調査を行う。なお、宝物の一部は10月28日〜11月13日に奈良国立博物館で開かれる「第75回正倉院展」で展示される。

滋賀県 築城450年 安土城のVR復元目指し天主北側で初の発掘調査

滋賀県は、織田信長が築いた安土城の復元に向け、10月11日から天主の北側部分の初の発掘調査を行うことになった。これは滋賀県が進めている築城450年にあたる2026年を目標に、AR(拡張現実)などの技術を用いて当時の城や城下町の姿などを復元しようというプロジェクトの一環。
安土城は、織田信長が天下統一の拠点としてびわ湖のほとりに築いたが、本能寺の変後、焼失したため、全体像が分からない「幻の城」ともいわれている。