「歴史くらぶ」カテゴリーアーカイブ

松山・道後温泉本館 24年7月に全館営業再開へ

愛媛県松山市は4月11日、保存修理工事を進めている道後温泉本館について、当初予定を約半年間早めて2024年7月中に全館の営業を再開できる見通しだと発表した。
国の重要文化財の道後温泉本館は明治中期から昭和初期にかけて整備された浴場施設群。現在は一部浴室の営業にとどまっている。

堺 百舌鳥古墳群 5/25~気球で空から一望, 試行運行

世界遺産の大山古墳(仁徳天皇陵古墳)を約100mの上空から一望できるガス気球「おおさか堺バルーン」の運行が5月25日から始まる。堺市が取り組む大山古墳など百舌鳥(もず)古墳群の魅力向上策の一環として1年間、試行運行する。
1回約30人が15分程度、前方後円墳の”鍵穴”の形状や堺市外、大阪湾などの風景を楽しむことができる。利用料金は一般大人で3,600円、子どもで2,400円。国内外の観光客など約8万人の利用を見込む。

196年ぶり復帰の鷹山ご神体に新たな3種の装束新調

2022年7月の京都・祇園祭の山鉾巡行に196年ぶり復帰した鷹山(たかやま)のご神体の新たな装束が新調、完成し4月7日公開された。鷹山保存会などによると、鷹山には鷹狩りを題材に鷹遣(たかつかい)、犬遣(いぬつかい)、樽負(たるおい)と呼ばれる3体のご神体があり、今回江戸期の絵図などをもとに、西陣織の技法で再現された。総事業費は約1,500万円。新調された装束は、後祭(あとまつり)巡行(7月24日)で披露される。

「SL人吉」ラストシーズン 熊本駅の出発式にファン

JR九州は4月8日、人気観光列車「SL人吉」のラストシーズンの運行開始にあたり、熊本駅で出発式を開いた。SL人吉は春から秋の週末を中心に熊本ー鳥栖(佐賀)間を走行しているが、2024年3月に運行を終える。
8日は熊本駅に詰めかけたSLファン数十人に見守られる中、発車した列車は、全132席がが予約で埋まった。同列車は元々、熊本ー人吉(熊本県人吉市)間を走行していたが、2020年の豪雨で肥薩線が被災し、走行区間を変更し、行楽シーズンに運行しているもの。
このSL「58654号機」は1922年製で営業運転しているものでは国内最古。それだけに客車ををけん引する蒸気機関車(SL)が老朽化しているほか、保守点検を担う技術者の確保やメンテナンスの部品調達も難しくなっている。

福井県立大 恐竜化石 切断せずに高精度に撮影

福井県立大恐竜学研究所は4月7日、兵庫県の大型放射光施設「スプリング8」の高エネルギーエックス線CTスキャンを利用し、恐竜化石の骨組織の撮影に成功したと発表した。特徴は化石を切断せず、高精度に観察できる点。骨組織データから死亡時の年齢や成長速度などが分かるという。
福井県で発掘された獣脚類フクイラプトルの大腿骨をスキャンしたところ、化石の薄片を顕微鏡で観察する従来の手法に匹敵する結果が得られた。この手法で骨のあらゆる部分を観察すれば年齢判定の正確性が高まるとしている。

日光東照宮5月例大祭で流鏑馬,武者行列 4年ぶり実施

栃木県日光市観光協会によると、日光東照宮の5月例大祭で、江戸時代から続いている伝統の「流鏑馬」と「百物揃千人武者行列」が4年ぶりに行われることになった。新型コロナウイルス禍で2020、2021、2022年と3年間中止されてきた。
流鏑馬と百物揃千人武者行列は毎年、日光東照宮の春と秋の例大祭に合わせて行われる伝統行事。このうち百物揃千人武者行列は、江戸時代に徳川家康の遺骨を静岡県の久能山東照宮から日光東照宮に移した際の盛大な行列を再現したとされている。
5月17日に流鏑馬、18日に百物揃千人武者行列が、行列に参加する人数を従来の半分に減らして行われる予定。

奈良「平城京」跡地で大型建物跡 舎人親王邸宅か

奈良市埋蔵文化財調査センターによると、1月から行った発掘調査で奈良市「平城京」の跡地で、複数の大型の建物跡が見つかった。敷地の広さは当時の大臣(左大臣・右大臣)の住まいに匹敵するとみられ、専門家は有力貴族の邸宅だった可能性が高いとしている。
建物跡が見つかったのは、平城京の中心部から南東に1kmほど離れた場所。邸宅の敷地の広さは、建物の柱の位置などから当時の区画4つ分にあたる、およそ6haと推定されている。これは当時、左大臣として権力を保持し、藤原氏族と対峙していた「長屋王」など有力者の住まいに匹敵する広さ。
考古学専門家がこの住まいの主の有力候補者として名前を挙げるのが「舎人親王」だ。同親王は『日本書紀』の編纂者として知られる。天武天皇と天智天皇の娘との間に生まれ、奈良時代前半「太政官」トップという要職を務めた人物。邸宅跡の広さや、これまで同親王の邸宅場所が分かっていないだけに、有力視される。

キトラ古墳・石室に3つの壁画を新たに確認 X線で

東京都内で3月23日開かれた文化庁の検討会で、奈良県明日香村のキトラ古墳について、石室の壁をエックス線を使って分析したところ、十二支の「巳(み)」とみられるヘビをかたどった像など3つの壁画が描かれていたことが新たに確認されたことが明らかにされた。
今回十二支の「辰(たつ)」と「巳(み)」「申(さる)」にあたる場所に、顔料の成分とみられる水銀や銅の反応が検出されたという。東京大学の増記隆介准教授は「泥の下にあるものが、よくここまで形として把握できたと思う。キトラ古墳の壁画がどういったものかを考える重要な成果だ」と話している。
キトラ古墳は7世紀末から8世紀初めのころの飛鳥時代に築造されたとされる円形の古墳。40年前(1983年)の調査で石室の内部に極彩色の壁画が描かれていることが分かった、高松塚古墳に続く国内2例目の古墳。

在原業平作の観音菩薩像 奈良国立博物館で公開

国の重要文化財に指定されている奈良市の不退寺の本尊、聖観音菩薩立像の修理が終わり、3月21日から奈良市の奈良国立博物館で特別公開されている。5月14日まで。
高さ1m90cmほどのこの仏像は平安時代の歌人、在原業平がつくったという言い伝えがあり、「業平観音」と呼ばれている。
会場では隣に、最近の調査で対の仏像としてつくられたことが分かった像が並べられ、置かれている。この2体明治時代以降、離れ離れになり、今回の展示が138年ぶりでの再会になるという。

滋賀で「ミナミヌマエビ」約100年ぶりに生息確認

京都大学の研究グループによると、滋賀県内の複数の川で「ミナミヌマエビ」が採集され、およそ100年ぶりに生息が確認された。体長およそ2cmの淡水に生息するミナミヌマエビは西日本の河川や沼などに生息しているが、環境の悪化で数が減少。滋賀県では1915年に採集された標本を除いて記録はなく、すでに絶滅したと考えられていた。
草津市にある琵琶湖博物館ではおよそ30匹のミナミヌマエビが展示されていて、水槽の中を泳ぎ回ったり、コケなどのエサを食べたりする様子を見ることができる。ミナミヌマエビの展示は5月14日まで。