月別アーカイブ: 2018年11月

ネパールと無償資金協力(食糧援助)の書簡交換

ネパールと無償資金協力(食糧援助)の書簡交換

東京で11月19日、日本の河野太郎外務大臣とネパールのプラディープ・クマル・ギャワリ外務大臣の立会いのもと、日本の西郷正道駐ネパール大使とネパールのプラティバ・ラナ駐日大使との間で、供与額3億5000万円の無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換が行われた。
今回の協力は日本の政府米を供与する。この食糧援助によって約10万人の食糧不足が改善すると期待される。
ネパールは所得水準が低く、総人口の6割強が農業に従事している。しかし、その農業もインフラの未整備、技術不足等により、農業生産性は低い水準にとどまり、多くの地域では食糧を自給できず、そのため子どもの慢性栄養失調等が深刻な状態となっている。2015年4月に発生した地震の影響からの復旧も進んでおらず、今後数年間にわたる収穫量の減少が予測されている。

日産連合に衝撃 カルロス・ゴーン会長ら逮捕

日産連合に衝撃 カルロス・ゴーン会長ら逮捕

東京地検特捜部は11月19日、日産自動車のカルロス・ゴーン会長(64)を、50億円余りの報酬の過少申告(有価証券報告書の虚偽記載)など金融商品取引法違反の疑いで、グレッグ・ケリー代表取締役(62)とともに逮捕した。
ゴーン氏は日産自動車、フランスのルノー、三菱自動車の3社連合の会長職を務め、ルノーではCEOも兼務。かつて経営不振下にあった会社を、現在のルノーおよび日産自動車に再建、V字回復させた立役者だ。さらに燃費データの不正問題で経営不振に陥った三菱自動車を傘下に収め、実現した3社連合により新車の世界販売でトヨタを抜き、自動車業界で確固たる基盤を築きつつある。この3社連合を束ねる存在だったゴーン氏。それだけに、業界および関係者、従業員が受けた衝撃は大きく、影響は避けられない。
日産自動車の内部調査などによると、ゴーン会長がベンチャー投資目的で海外子会社をつくり、海外の数カ所で自宅用の高級住宅を購入させていた疑いがあることなども分かっているという。

東レが高圧縮強度・高弾性率を両立させた炭素繊維

東レが高圧縮強度・高弾性率を両立させた炭素繊維

東レ(本社:東京都中央区)はこのほど、強度と弾性率を両立させた新しい炭素繊維を開発し、「トレカ(R)MXシリーズ」として、今後さらなるラインアップ拡充を目指す。また同シリーズを使用した高性能中間基材(プリプレグ)の展開により、炭素繊維の用途拡大にも貢献していく。
トレカ(R)MXシリーズは、トレードオフの関係にある繊維強度と弾性率の両方を極限追求し、従来よりも細かいナノレべルで繊維内部の黒鉛結晶構造を緻密に制御し、配向性を高める技術を適用している。

宝印刷 東南アで翻訳・通訳事業展開会社を子会社化

宝印刷 東南アで翻訳・通訳事業展開会社を子会社化

ディスクロージャー並びにIR関連物のコンサルティング、制作、印刷などを手掛ける宝印刷(本社:東京都豊島区)グループは、Translasia Holdings Pte.Ltd.(所在地:シンガポール)の第三者割当増資により株式を取得し、同社を子会社化することで基本合意に達した。同社の97.3%の議決権株式を保有する見込み。株式引受実行日は11月20日の予定。
Translasia Holdingsはシンガポール、マレーシア、香港で翻訳事業および通訳事業を展開しており、東南アジアへ進出する宝印刷の顧客へのサービスの拡充、香港事業の統合によるシナジーの創出などにより、事業拡大を図ることができると判断した。

万博の大阪誘致へ松井知事と吉村市長が支持の上積み狙いパリへ

万博の大阪誘致へ松井知事と吉村市長が支持の上積み狙いパリへ

2025年万博の開催地決定の11月23日を目前に控え、大阪府の松井知事と大阪市の吉村市長が11月19日午前、フランス・パリへ向けて関西空港を出発した。
開催地は23日、パリで開かれるBIE(博覧会国際事務局)の総会で、加盟国の投票で決まる。松井、吉村両氏は、態度を明らかにしていない国などに23日の投票ギリギリまで働きかけを行って、支持の上積みを図りたい考え。

オカムラ 特養に天井走行式介護リフトシステム納入

オカムラ 特養に天井走行式介護リフトシステム納入

オカムラ(本社:横浜市西区)は、特別養護老人ホーム「海光園」(所在地:静岡県熱海市)に天井走行式リフトシステム「Ergolift Luna(エルゴリフトルナ)」を納入した。
これは、天井に取り付けたレールを走行する介護リフトシステム。利用者にスリングシートを装着して、リフトで吊り上げ天井レールに沿って介護者が手を添えて屋室内を移動・移乗する。介護スタッフの労力軽減とともに、介護の効率性向上にもつながり、介護者がゆとりある心をもって働ける環境をつくる。

旭川医科大など新たな膵がんの発生経路を発見

旭川医科大など新たな膵がんの発生経路を発見

旭川医科大学の水上祐輔准教授らの研究チームはこのほど、遺伝子変異解析により膵臓にできる腫瘍性の嚢胞(のうほう)「膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)」患者にみられる膵がんの形成において、良性と悪性の中間的な状態を示す前駆病変的な多彩な性質や特徴を持つ病変へと枝分かれしながら進化する、新しい発がん経路を発見した。
この研究成果は、米国の科学雑誌『Gastroenterology』(2019年2月号)の掲載に先立ち、オンライン版で公開された。
同研究チームは水上准教授ほか、北海道大学・腫瘍病理学教室(現 東北大学・病理形態学分野)の大森優子助教、札幌東徳洲会病院・医学研究所の小野裕介主任研究員らで構成。

安土桃山時代に初期キリシタンが描いた宗教画発見

安土桃山時代に初期キリシタンが描いた宗教画発見

安土桃山時代に日本人の信徒、初期のキリシタンが描いたとみられる宗教画が見つかった。見つかったのは和紙をつなぎ合わせた幅22㌢、長さ3㍍余の巻物で、「受胎告知」や「聖霊の降臨」などキリストと聖母マリアの生涯の15の場面が墨絵で描かれている。
巻末には安土桃山時代にあたる「千五百九十二年」と書かれていて、和紙の成分の分析からも16世紀後半から17世紀前半のものと分かり、明記されたこの年に描かれた可能性が高いという。専門家は、キリスト教が日本に伝わって間もない、最も初期の信仰の様子を知る重要な発見としている。
この宗教画はキリシタンをめぐる歴史的な資料を収集している神奈川県大磯町の澤田美喜記念館の収蔵品の中から見つかり、横浜市歴史博物館が専門家などと鑑定した。澤田美喜さんは岩崎弥太郎の孫。

パプアニューギニアの理数科教育の質改善に無償資金協力

パプアニューギニアの理数科教育の質改善に無償資金協力

パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで11月16日、日本の河野太郎外務大臣とパプアニューギニアのリムビンク・パト外務貿易大臣との間で、供与額12億円の無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の交換が行われた。今回の無償資金は同国の理数科教育の質改善のための支援に充てられる。
同国はニューギニア島の東半分と約1000の島々から構成され、その国土は急峻な山岳地域と離島が大部分を占めることもあり、都市から隔絶された小規模な小中学校が多数点在。そのため、教育施設および教員数が不足しているだけでなく、教育知識が不十分な教員も少なくなく、教育の質にも大きな課題を抱えているという。

APECで初、首脳宣言出せず 米中対立で調整難航

APECで初、首脳宣言出せず 米中対立で調整難航

パプアニューギニアのオニール首相は11月18日、初の議長国として17~18日に開催した第26回アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議について、首脳宣言の採択を断念する旨、発表した。APECが首脳宣言を採択できなかったのは、発足以来、今回が初めて。
首脳宣言を出せなかったのは、同会議開催前から中国の習近平主席、米国のペンス副大統領が双方の「一帯一路」「自国第一主義」などの立場や政策を強く批判し合い、対立が露わになり調整が難航、折り合いがつかなかったため。
先に中国が米国に提示した142項目の行動計画リストで、新たな局面に入ったとみられる米中貿易戦争だが、今回の強烈な批判の応酬を見る限り、まだまだ紆余曲折ありそうな情勢だ。