「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

トヨタ, 岩谷産業 液体水素を車に充填 既存インフラで初実証

トヨタ自動車と岩谷産業は10月24日、岩谷産業が運営する愛知県刈谷市の水素ステーションで、水素を液体の状態で車に充填する国内初の実証実験を公開した。水素社会を見据え、既存のインフラで進める水素自動車普及策の一環。
既存の水素ステーションは、水素を気体の状態で充填することが前提。今回、専用設備を開発して液体でも充填できるようにした。水素の用量保管・輸送は気体→液体化が喫緊の課題だけに、既存のステーションでも液体水素を充填しやすくすることは即、水素エンジン車の普及につながるとみられる。

中国のCATL 航続距離最長400kmのPHV向け新型電池を発表

車載電池の世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は10月24日、北京市内で新製品発表会を開き、プラグインハイブリッド車(PHV)向けの新型電池を開発したと紹介した。この新型電池の航続距離は最長400kmで、280km走行分の充電をわずか10分で完了できるという。

ノーリツ 豪州で水素100%燃焼家庭用給湯器の実証実験

ノーリツ「(本社:神戸市)は10月22日、グループ会社のDux Manufacturing Ltd(所在地:オーストラリア、以下、Dux)が、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みをを加速させるため、西オーストラリアを中心としたエネルギーインフラ会社、ATCO Gas Australia Pty Ltd(以下、ATCO)と共同で、2024年12月から水素100%燃焼の家庭用給湯器の実証実験を開始すると発表した。
ノーリツ、Dux、ATCOの3社は協定書を締結。ノーリツが開発した水素100%燃焼の家庭用給湯器をATCOの水素住宅に導入し、2024年12月から約2年間、日常生活での稼働状況を検証する。Duxは実験中の機器メンテナンスを担う。

DIC, ユニチカ 次世代通信機器低誘電材のPPSフィルム開発

DIC(本社:東京都中央区)とユニチカ(本社:大阪市中央区)は10月10日、高周波領域で伝送損失を低く抑える特殊PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムを開発したと発表した。このPPSフィルムはスマートフォンや小型電子機器などに使用される高周波対応のプリント配線板に求められる伝送損失を低く抑える(低誘電)素材。DIC独自のPPS重合・コンパウンド技術と、ユニチカが保有するフィルム化技術を融合することで生み出された。

アステラス 英バイオ企業から認知症治療薬の開発権取得

アステラス製薬(本社:東京都中央区)は10月8日、英国バイオ企業、アビアドバイオ(本社:英国・ロンドン)との間で認知症向けの遺伝子治療薬候補を開発・商業化できる権利を取得することで契約を締結したと発表した。これによりアステラスはアビアドバイオの新薬候補、「AVB-101」を全世界で開発・商業化する権利を得る。現在、初期段階の臨床試験(治験)に入っている。
今回の契約によりアステラスは、まず一時金として最大5,000万ドル(約73億円)を支払う。さらに開発などの進捗に応じて最大21.8億ドルを支払う可能性がある。

トヨタ eVTOL開発の米ジョビー社に5億㌦追加出資

トヨタ自動車は10月2日、電動垂直離着陸機(eVTOL、空飛ぶクルマ)を開発する米ジョビー・アビエーション(以下、ジョビー社)に5億ドルを追加出資することで合意したと発表した。eVTOLの研究開発段階から実用化に向けた取り組みを加速していく。今回の追加出資により、トヨタのジョビー社への投資額は2020年1月の3.94億ドルと合わせ累計8.94億ドルとなる。

第42回大阪科学賞「宇宙線」「培養肉」研究の2人が受賞

科学技術の発展に貢献した関西の50歳以下の研究者を表彰する大阪科学賞。42回目となる今年は、大阪公立大学の藤井俊博准教授と大阪大学の松崎典弥教授の受賞が決まった。表彰式は11月9日に行われる予定。
藤井准教授は国際研究グループのメンバーとして、宇宙から降り注ぐ小さな粒子「宇宙線」のうち、計算上わずか1グラムで地球が破壊されるほどの巨大なエネルギーを持つものを発見し、この宇宙線を「アマテラス粒子」と名付けた。
また、松崎教授らの研究グループは細胞を立体的に成長させる独自の技術を応用し、霜降り和牛のような味と食感を再現する「培養肉」の開発を進めており、2025年大阪・関西万博で展示する予定という。

腎臓病の胎児にブタの腎臓を移植 国内初の手術実施へ

東京慈恵会医科大学と国立成育医療研究センターのグループは、重い腎臓病の胎児にブタの腎臓を移植する国内初の手術の計画書を学内の審査に提出することになった。グループは、生まれる前から腎臓が働かず、尿がつくれない「ポッター症候群」の胎児2人に、ブタの胎児の腎臓を移植する臨床研究の計画を進めている。
動物の臓器を人に移植する「異種移植」手術が、国内で行われたことはこれまでない。審査が順調に進めば、来年度中に国に手術の実施を申請したいとしている。

第一工業製薬 広島大と共同研究でCNF複合磁性粒子を開発

第一工業製薬(本社:京都市南区)は10月2日、国立大学法人広島大学(所在地:広島市)との共同研究でセルロースナノファイバー(CNF)複合磁性粒子の開発に成功したと発表した。研究用試薬や診断薬の開発への展開を目指し、11月からサンプルワークを開始する。

千代田化工 植物による有用タンパク質の量産技術開発へ

千代田化工建設(本社:横浜市西区)は10月1日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のカーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術開発事業で、植物による有用タンパク質を生産する、新規基盤技術の実証設備の建設を進めている。これは、複雑で高度な修飾を必要とする機能性タンパク質を、植物(タバコ葉)を用いて生産する技術で、安価かつ安定的に供給するシステムを開発するもの。この実証設備を国内初の「植物バイオファウンドリ」として機能させる計画。