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トランプ米政権に、厳正中立はFRBパウエル議長だけ

トランプ大統領からの圧力に左右されず、米連邦準備制度理事会(FRB)は、昨年秋から利下げに転じていた政策金利を、今年に入って3会合連続で据え置いた。今回の会合に向け、トランプ氏は景気浮揚を狙ってFRBに繰り返し利下げを求めていた。しかし、パウエル議長は記者会見で、現在の米経済は堅調だとして、利下げを急がない考えを示した。トランプ氏の意向をはねつけた形だ。
トランプ氏は、様々な分野で理不尽ともいえる”生煮えの”政策を打ち出し、自由や民主主義といった価値観を軽視し、司法さえ蔑(ないがし)ろにする姿勢を示す。それによって周囲が、そして世界が振り回される状況が続く。そうした中、FRBが独立性を貫いて利下げを見送ったことは、経済政策運営における健全性がまだわずかに残されていることを示す形となった。その意味では、厳正中立のFRBパウエル議長はトランプ氏にもの申せる”最後の砦”といっていいのかも知れない。
FRBによる金融政策の舵取りは、米国のみならず、世界経済にも大きな影響を及ぼす。パウエル議長は「発表された大幅な関税の引き上げが続けば、インフレ率の上昇や経済成長の鈍化、失業率の上昇を招く可能性がある」と警鐘を鳴らした。トランプ氏は真摯に受け止め、高関税政策を早急に再考すべきである。

米英 関税交渉合意 車10%に引き下げ, 鉄鋼・アルミはゼロ

米国のトランプ大統領と英国のスターマー首相は5月8日、電話会談し、関税を巡る交渉で合意した。今回の米国の世界の貿易相手国・地域との一連の関税交渉の中で、最初の合意案件となる。
英政府の発表によると、米国が英国から輸入する乗用車への関税は、2.5%の関税分と25%の追加関税分を合わせた27.5%から、10%に下がる。対象台数は年間10万台で、昨年の輸出台数とほぼ同じ規模になるという。
25%の追加関税が課されている鉄鋼・アルミニウムの関税はゼロにするほか、牛肉などの農産物は米英両国が互いに関税を引き下げる。また、「相互関税」などについては今後も交渉を続ける。

新ローマ教皇「レオ14世」決定 初の米国出身の教皇誕生

カトリック教会のローマ教皇を選ぶ教皇選出会議(コンクラーベ)は5月8日午後、バチカン市国のシスティナ礼拝堂で4回目目の投票を行い、3分の2を超える票を獲得した米国出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿を新教皇に選出した。教皇名には「レオ14世」を選んだ。米国出身の教皇が誕生するのは初めて。

公取委 都内15ホテルに警告 客室情報を共有 カルテルの疑い

公正取引員会は5月8日、東京都内の有名ホテル15社が毎月会合を開き、客室単価などの情報を共有していた行為が価格カルテルにつながる恐れがあるとして、独占禁止法違反の疑いで再発防止を求める警告を行った。価格つり上げなどの行為は確認されなかったが、各社で内部情報を交換していたことを問題視した。
対象となったのは帝国ホテル、オークラ東京、ホテルニューオータニ、京王プラザホテル、シェラトン都ホテル東京、第一ホテル東京、パレスホテル東京、ホテル椿山荘東京、ハイアットリージェンシー東京など15社。

塩野義 JTから1,600億円で医薬事業を買収 創薬力強化

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は5月7日、日本たばこ産業(JT)から医薬事業を買収すると発表した。JT傘下の鳥居薬品に対して株式公開買い付け(TOB)を実施するほか、JT本体の医薬事業と、米国の関連子会社も譲り受ける。買収額は総額約1,600億円。
塩野義は感染症の治療薬を得意とする。アレルギー疾患や皮膚疾患などの薬に強みを持つ鳥居薬品を買収することで、創薬力の強化や販売網の拡大を図る。JTは医薬事業から撤退し、本業に集中する。

百日せき 全国の患者数 累計1万人超え 昨年年間の2倍以上

百日せきの患者の増加、拡大が続いている。国立健康危機管理研究機構によると、4月27日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者数は2,176人で前の週から292人増えて、5週連続で過去最多となった。この結果、今年の累計患者数は1万1,921人となり、昨年1年間の2倍以上に上っている。これは2018年以降で最多。
都道府県別でみると、東京都と福岡県で142人、新潟県で132人、兵庫県で110人、大阪府で105人などとなっている。

PHV 製品ライン強化 EV販売停滞”つなぎ役”でなく売れ筋に

自動車の新車販売市場でプラグインハイブリッド車(PHV)の評価が高まっている。航続距離のへ不安や、先行する中国メーカー各社のグローバル市場への供給急増なども加わって、電気自動車(EV)の販売が伸び悩む中、電気とガソリンを併用できる利便性の高さが支持されているのだ。これまではEVが普及するまでの”つなぎ役”とみられていた。
富士経済の需要見通しでは2024年のEVの世界販売台数は前年比4%増の1,048万台にとどまった。これは充電設備の不足や航続距離への不安が主要因とみられる。これに対し、PHVは同約30%増の545万台と大きく伸びる見込みだ。
こうした需要予測をにらみメーカー各社はPHVのラインアップを強化している。トヨタ自動車、三菱自動車、マツダなど相次いで新型車を投入している。
PHVはEV大国、中国でも脚光を浴びる。BYDを筆頭に新車種を展開し、2024年の新車販売の伸び率は8割超と、2割以下のEVを大きく上回った。世界販売台数は中国勢が6割を占めた。4月23日から開かれていた世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」でもPHVの展示スペースが際立った。各社がテコ入れを急いでいるからだ。浙江吉利控股集団傘下EVブランド「Zeekr(ジーカー)」や、EV専業の小鵬汽車(シャオペン)が初めてPHVを投入することをそれぞれ明らかにしている。
PHVの最大の特徴は、給油に加えて、充電プラグをさせば外部からも充電できる点にある。EVは充電施設の少なさから”電欠”への不安がつきまとう。だが、PHVはその部分をガソリンで補いながら電気だけでも走れる。ハイブリッド車(HV)に比べ環境性能も高めた、いわば”いいとこ取り”な車だ。日常使いならモーターを主体に、遠出をする際はガソリンをメインに走るなど、動力を使い分けることが可能だ。
こうしてPHVは航続距離の長さが支持され、EVを上回る伸び率で成長が続く。今後は機能や価格を巡る競争も激化する見通しだ。

三菱自 鴻海傘下で開発, 生産EVをOEM供給受ける覚書

三菱自動車は5月7日、台湾の電子機器受託製造大手、鴻海精密工業から電気自動車(EV)の供給を受けると正式に発表した。鴻海の傘下企業で開発されたEVを、OEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けることで覚書を締結した。EVの開発を担うのは鴻華先進科技股份有限公司(以下、Foxtron=フォックストロン)で、台湾で生産するのは裕隆汽車製造股份有限公司(以下、裕隆汽車)。詳細な検討に入る。このEVはオセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)地域で、2026年後半から販売開始する予定。
日本の自動車大手が、鴻海からEV供給を受けるのは初めて。

コメ価格 17週連続上昇5㌔4,233円 備蓄米出荷3割どまり

農林水産省は5月7日、4月21〜27日に全国のスーパーで販売されたコメ5kgあたりの平均価格が前週より12円高い4,233円だったと発表した。この結果、17週連続の値上がりとなり、前年同期の2,088円の2倍を超える水準が続いている。
農水省は政府備蓄米の入札をこれまでに3回実施し、計31万トンを順次放出している。しかし、全国農業協同組合連合会(JA全農)によると、5月1日時点で1,2回目で落札した約20万トンのうち、卸売業者に出荷されたのは約3割の5.7万トンにとどまっている。

ADB総会 米、対中融資の終了主張 中国反発 対立鮮明に

イタリア・ミラノで開かれているアジア開発銀行(ADB)の年次総会で5月5日、米国がADBの中国向け融資の終了を主張したのに対し、継続を訴える中国が強く反発し、米中の対立が鮮明になった。
米国は財務省のマーガレット・クーロウ次官補代理が「ADBの支援は開発途上国に重点を置くべきだ。所得水準が高い国は支援を卒業する必要がある」と強調。そのうえで「特に中国への具体的な措置が必要だ」と、名指しで対中融資の終了を訴えた。これに対し、中国の藍物安財務相は「根拠がなく、中国は卒業の基準を満たしていない」と反論した。
ADBの2024年12月末現在の融資残高は1,538億ドル(約22兆円)で、うち中国向けは181億ドルと1割以上を占めている。米国は日本と並ぶADBへの最大の出資国で、15.6%を出資。中国は日米に次ぐ6.4%を出資している。