トランプ大統領からの圧力に左右されず、米連邦準備制度理事会(FRB)は、昨年秋から利下げに転じていた政策金利を、今年に入って3会合連続で据え置いた。今回の会合に向け、トランプ氏は景気浮揚を狙ってFRBに繰り返し利下げを求めていた。しかし、パウエル議長は記者会見で、現在の米経済は堅調だとして、利下げを急がない考えを示した。トランプ氏の意向をはねつけた形だ。
トランプ氏は、様々な分野で理不尽ともいえる”生煮えの”政策を打ち出し、自由や民主主義といった価値観を軽視し、司法さえ蔑(ないがし)ろにする姿勢を示す。それによって周囲が、そして世界が振り回される状況が続く。そうした中、FRBが独立性を貫いて利下げを見送ったことは、経済政策運営における健全性がまだわずかに残されていることを示す形となった。その意味では、厳正中立のFRBパウエル議長はトランプ氏にもの申せる”最後の砦”といっていいのかも知れない。
FRBによる金融政策の舵取りは、米国のみならず、世界経済にも大きな影響を及ぼす。パウエル議長は「発表された大幅な関税の引き上げが続けば、インフレ率の上昇や経済成長の鈍化、失業率の上昇を招く可能性がある」と警鐘を鳴らした。トランプ氏は真摯に受け止め、高関税政策を早急に再考すべきである。
fujishima のすべての投稿
米英 関税交渉合意 車10%に引き下げ, 鉄鋼・アルミはゼロ
新ローマ教皇「レオ14世」決定 初の米国出身の教皇誕生
公取委 都内15ホテルに警告 客室情報を共有 カルテルの疑い
塩野義 JTから1,600億円で医薬事業を買収 創薬力強化
百日せき 全国の患者数 累計1万人超え 昨年年間の2倍以上
PHV 製品ライン強化 EV販売停滞”つなぎ役”でなく売れ筋に
自動車の新車販売市場でプラグインハイブリッド車(PHV)の評価が高まっている。航続距離のへ不安や、先行する中国メーカー各社のグローバル市場への供給急増なども加わって、電気自動車(EV)の販売が伸び悩む中、電気とガソリンを併用できる利便性の高さが支持されているのだ。これまではEVが普及するまでの”つなぎ役”とみられていた。
富士経済の需要見通しでは2024年のEVの世界販売台数は前年比4%増の1,048万台にとどまった。これは充電設備の不足や航続距離への不安が主要因とみられる。これに対し、PHVは同約30%増の545万台と大きく伸びる見込みだ。
こうした需要予測をにらみメーカー各社はPHVのラインアップを強化している。トヨタ自動車、三菱自動車、マツダなど相次いで新型車を投入している。
PHVはEV大国、中国でも脚光を浴びる。BYDを筆頭に新車種を展開し、2024年の新車販売の伸び率は8割超と、2割以下のEVを大きく上回った。世界販売台数は中国勢が6割を占めた。4月23日から開かれていた世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」でもPHVの展示スペースが際立った。各社がテコ入れを急いでいるからだ。浙江吉利控股集団傘下EVブランド「Zeekr(ジーカー)」や、EV専業の小鵬汽車(シャオペン)が初めてPHVを投入することをそれぞれ明らかにしている。
PHVの最大の特徴は、給油に加えて、充電プラグをさせば外部からも充電できる点にある。EVは充電施設の少なさから”電欠”への不安がつきまとう。だが、PHVはその部分をガソリンで補いながら電気だけでも走れる。ハイブリッド車(HV)に比べ環境性能も高めた、いわば”いいとこ取り”な車だ。日常使いならモーターを主体に、遠出をする際はガソリンをメインに走るなど、動力を使い分けることが可能だ。
こうしてPHVは航続距離の長さが支持され、EVを上回る伸び率で成長が続く。今後は機能や価格を巡る競争も激化する見通しだ。
三菱自 鴻海傘下で開発, 生産EVをOEM供給受ける覚書
コメ価格 17週連続上昇5㌔4,233円 備蓄米出荷3割どまり
ADB総会 米、対中融資の終了主張 中国反発 対立鮮明に
イタリア・ミラノで開かれているアジア開発銀行(ADB)の年次総会で5月5日、米国がADBの中国向け融資の終了を主張したのに対し、継続を訴える中国が強く反発し、米中の対立が鮮明になった。
米国は財務省のマーガレット・クーロウ次官補代理が「ADBの支援は開発途上国に重点を置くべきだ。所得水準が高い国は支援を卒業する必要がある」と強調。そのうえで「特に中国への具体的な措置が必要だ」と、名指しで対中融資の終了を訴えた。これに対し、中国の藍物安財務相は「根拠がなく、中国は卒業の基準を満たしていない」と反論した。
ADBの2024年12月末現在の融資残高は1,538億ドル(約22兆円)で、うち中国向けは181億ドルと1割以上を占めている。米国は日本と並ぶADBへの最大の出資国で、15.6%を出資。中国は日米に次ぐ6.4%を出資している。