全国農業協同組合連合会(JA全農)は5月9日、政府備蓄米の流通を巡り3月に落札した19万9,270トンのうち、5月8日時点で32%にあたる6万3,266トンを卸売業者に出荷したと発表した。前週の5月1日時点の29%から3ポイント上がったが、いぜんとして68%は卸売業者には渡っていないのだ。全量を売り渡すのは7月以降になる見通しだ。
JA全農によると、卸売業者から出荷依頼を受けて小売店に届くまでには2〜3週間かかる。卸売業者が精米する処理能力に限りがあるためだ。
コメ価格の高騰が続き、備蓄米の流通が停滞する事態を受けて、政府はようやく入札に参加する業者の条件を緩和する方向で検討に入った。現状では放出した備蓄米と同じ量のコメを原則1年以内に買い戻す条件がついているが、この条件を緩めることで幅広い業者の参加を促し、備蓄米を広く行き渡らせたい考えだ。
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トランプ米政権に、厳正中立はFRBパウエル議長だけ
トランプ大統領からの圧力に左右されず、米連邦準備制度理事会(FRB)は、昨年秋から利下げに転じていた政策金利を、今年に入って3会合連続で据え置いた。今回の会合に向け、トランプ氏は景気浮揚を狙ってFRBに繰り返し利下げを求めていた。しかし、パウエル議長は記者会見で、現在の米経済は堅調だとして、利下げを急がない考えを示した。トランプ氏の意向をはねつけた形だ。
トランプ氏は、様々な分野で理不尽ともいえる”生煮えの”政策を打ち出し、自由や民主主義といった価値観を軽視し、司法さえ蔑(ないがし)ろにする姿勢を示す。それによって周囲が、そして世界が振り回される状況が続く。そうした中、FRBが独立性を貫いて利下げを見送ったことは、経済政策運営における健全性がまだわずかに残されていることを示す形となった。その意味では、厳正中立のFRBパウエル議長はトランプ氏にもの申せる”最後の砦”といっていいのかも知れない。
FRBによる金融政策の舵取りは、米国のみならず、世界経済にも大きな影響を及ぼす。パウエル議長は「発表された大幅な関税の引き上げが続けば、インフレ率の上昇や経済成長の鈍化、失業率の上昇を招く可能性がある」と警鐘を鳴らした。トランプ氏は真摯に受け止め、高関税政策を早急に再考すべきである。